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Adam Lambertの歌を聴け

Perfumeが好きだ。

Perfumeを知る前からPerfumeのことが好きだったような気がする。好きなアーティストを訊かれたら、必ずPerfumeと答えてきたし、何なら好きな、ぐらいで食い気味に答えてきたので、結果的に好きな食べ物をPerfumeと答えてしまったこともある。

そんな時、ぼくはいちいち訂正しない。

もうそのまま、Perfumeでいっちゃってください、という顔で、ただ相手を見つめるだけだ。

 思い返せば中学の卒業式はワンルーム・ディスコフラゲ日と被り、欠席した。

この話をするとよく「親に怒られなかったの?」と訊かれるが、当時を振り返って母親は「あまりにも純粋な目をしていた」と語る。

 他にもPerfumeを観るためだけにパリへ行った。12時間半かけてフランスへ行き、到着の6時間後にはPerfumeのライブが始まり、終わった後そのままホテルへ帰り就寝、次の日の昼には日本行きの飛行機に12時間乗るというスケジュールで、だ。

あなたの周りには居るだろうか。フランス旅行に行って一泊しかしなかった人。飛行機に乗っていた時間の方が遥かに長かったし、帰国後、母親の「火曜日って今週のことだったの?」という第一声が印象的だった。

 そんなぼくにもこれまでに唯一、悩んだ末にPerfumeよりも優先したことがある。

 

2013年2月26日

Adam Lambert  来日公演

 

この日にPerfumeサイドではなにがあったか。知らない人はいないと思うが、この日はPerfumeの17thシングル「未来のミュージアムフラゲ日である。

 自分にPerfumeより優先したいと思うことができたなんて精神病に違いないと、心療内科に通ったりもした。

ぼくが「自分が怖いんです。こんな自分いらない。嫌。死にたい。このままPerfumeが一番の状態で死にたい」と診療室で半狂乱になる度に、その医者は「momoちゃん、その気持ちスゴくわかるよ。これを鼻から吸い込んでみ。一瞬でブッとぶから」と、決まって何かの粉をくれた。頭がふわ〜〜となり、多幸感だけに包まれる粉を。

 さて、ライブ当日。
その日大阪は珍しいほどの大雪だった。Perfumeの新曲のフラゲ日に合わせ、陸軍香道派の影響を受けた青年将校が全国のPerfume以外のCDを叩いて回るという事件(通称:二•二六事件) が世間を賑わせる中、ぼくはふわ〜〜とした頭で「未来のミュージアム」を聴きながらなんばHacthに並んでいた。

もちろん、Adam Lambertのライブに参加するためにだ。

 ぼくはここで「ライブとCDの発売は両立可能だった」なんて言い訳をするつもりはない。同じ次元に並べてしまった時点の背信だ。比べてしまった時点で浮気なのだから。

それでもライブは楽しかった。

本当に、心から、楽しかった。

ぼくはぜひたくさんの人にAdam Lambertを聴いて欲しい。たくさんの人が自分の耳で好きか嫌いか考えて欲しい。
好きじゃなかったらそれはそれで構わない。ただ知らないという状態に身を置いて欲しくない。

これから4つの曲を紹介する。興味の惹かれたものだけで良いので、時間と、Wi-Fi環境がある時に是非聴いて欲しい。



この曲は彼の代表作の一つで、MVは要素が詰め込まれ過ぎて"概念"みたいになってしまっているのが大きな特徴だ。野外レイブをモチーフにしているのだろうか、彼のMVにはしばしば森のモチーフが出てくる。そしてどこかMichael Jackson風の味付けだ。

曲調は無条件にテンションをアゲてくれる素直なポップスだが、歌詞はLAの喧騒の中で純愛を誓うような若者特有のドラマチックな視野狭窄さがあって、眩しくて、照れ臭い。しかもこの曲調と歌詞のギャップは綿密に計算されたものだから恐ろしい。

なんてことはない、この曲はただ90年前のイギリスの陰鬱な空気の中、Irving Kingが"IF I HAD YOU"で試みようとしたことを現代のLAでしただけだ。しかしたったそれだけで、彼は流れる時の中で変わることのない愛を見事に表現したのだ。

 

みたいな語り口調の、知識を全面に押し出して上から目線で解説してくる評論家、あれって本人以外に楽しい人居るんですかね?

 


ここからは普通に書きます。

この曲も代表作の一つですね。
MVは相変わらず情報量が多くて、地下のダンスフロアで踊ってると思えば、森の中でたくさんの手に身体をまさぐられたり、ただ腕に蛇を巻きつけながらカメラ目線で椅子に座ってるなど、高熱の日に見る夢みたいな内容です。

さて。
この曲で注目すべきは歌詞です。彼がアダム様と呼ばれるようになったきっかけでもあります。「洋楽なんて歌詞分からねえよ」という人も和訳で良いので見てください。

(和訳参考:アダム・ランバート For Your Entertainment 歌詞和訳|音楽好きの館へようこそ)

これぞサドの世界じゃないですか。
世の勘違い自称ドS男はマジで考えを改めて欲しいんですが、SMはあくまで双方向の奉仕関係です。異なるのはその角度だけで。

SM研究の大家で知られる大林倫太氏はその著書で「スパンキングとはブランコに乗った少女の背を押すようなものだ。ブランコから落とそうとして押すのはただの性悪である」と述べていません。誰だよ。

なんの話でしたっけ?

ああそうだ。ぼくはこの曲の"I'm here for your entertainment."を初めて聴いた時、もう子宮が降りるとか排卵が始まるとかのレベルじゃなくて確かにお腹を蹴られた感触がありました。我が子に。

 ちなみに彼はゲイをカミングアウトしているんですが、ライブでこの曲を歌った時には黒人のバックダンサーの顔を自分の股間に擦りつけていましたし、それを見ていたぼくの隣に居た外国人はヒートアップしてキスしてきました。(登場人物は全員男です)

 


2枚目のアルバムの表題にもなっているこの曲のMVは今までと打って変わって、シンプルな絵が続きます。逆に情報量が少な過ぎて、最後まで観ると「結局どこに向かってるんだよ」「森じゃないのかよ」となってしまいます。

メロディ進行と歌詞もかなりシンプルなんですが、その分彼の歌唱力とグルーブ感が直に伝わるのでかなりノレる曲になっています。純粋に楽しいんです。こういう曲が洋楽を聴く醍醐味の一つですね。

 


これはバラードです。この曲も非常にシンプルな作りです。Aメロからずっと続くリフがサビに入ると、こんなにも効いてくるんですね。この手法は我らが神、中田ヤスタカも多用してるので大好きです。

この曲の凄いところは、全然英語がわからなくても、なんとなく「いや、どしたん……何あったん……大丈夫やって……」と慰めてる場面が想像できません? そのままの歌詞なんですよね。

タイトルの"Whataya(=what do you) want from me"は「なんかしてあげられることある?」ってニュアンスですね。
歌詞と曲の雰囲気をみると別れそうな彼氏が彼女を「大丈夫。俺がいるからさ」と慰めてるようでもありますし、もしかすると男の片思いなのかもしれません。

一方MVではTシャツ姿のAdamとスーツ姿のAdamが出てくるので、あるいは自分で自分を鼓舞する曲なのかもしれません。他にも様々な想像ができます。

 実はこれはP!nkが彼に提供した曲なんですが、歌詞途中の

"There might have been a time
When I would let you slip away
I wouldn't even try but i think
You could save my life."

って部分が本当にP!nkっぽくて思わず照れちゃいます。(これはP!nkと照れて皮膚が染まるということ、そしてぼくの名前がmomoであることを掛けた高度な謎掛けです。)

 「1人でもやっていけると思ってた時期もあったけどさ。今はやってみるつもりもないし、君が居るだけで救われるんだ。」

歌詞の上では単に1番Bメロと対応させてるだけなんですが、微妙な違いによっての解釈の幅の広がり方が素晴らしい。
ぼくは曲を聴くと91%くらいの確率で、「マジでこの曲別に2番いらなくない?」となるんですけど、この曲を初めて聴いた時は「ちょっとちょっとちょっと〜〜〜!!!あるじゃん〜〜!!!そんなフレーズどこに隠してたの〜〜!?!?」とオカマになりました。

 

どうだったでしょうか。少しでもあなたの耳に合えば嬉……おい、待て。お前だよ。本当に聴いたか? 正直一回も聴いてないだろ?  そんな顔してるもんな。 俺がここでどれだけ曲の良さを語ってもどうせ誰も聴いてないんんだよ。知ってんだからな。いい加減にしろよマジで。YouTubeの再生回数とここのページビュー数を交互に見続けるからな。ズルしたら一発だぞ。

じゃあな。

良いか、ちゃんと聴くんだぞ。
ちなみに俺が一番オススメなのはここでは取り上げなかったCuckooという曲だからな。こっちを聴くこと。よろしく。

では、拙者は今から頭がふわ〜〜とする薬を飲んでPerfumeを聴いてきます!(笑)ドロン!(笑)